『  むかしむかし ― (2) ―  』

 

 

 

 

 

 

  さあ。  ・・・ いきます ・・・・ !

 

フランソワーズは大きく息を吸うと  ― す・・・っと中央に出た。

 

「 姫  遠国からいらした王子様方です。 ご挨拶を 」

「 はい お父様。 」

国王陛下に促され フランソワーズ、いや オーロラ姫は進み出る。

 

求婚者としてやってきた王子が 一人づつ歩みより 手を差し伸べる。

順番にその手を借り、姫は デヴェロッペ エカルテ・デリエール でポーズを決める。

 

一人目は 赤毛の長身。

 

 ようこそ ・・・ 西の国の王子さま   え ジェット??

 

二人目は 銀髪の紳士

 

 ようこそ ・・・ 隣国の王子さま   え アルベルト ??

 

三人目は 亜麻色の髪の青年

 

 ようこそ ・・・ 懐かしい国の王子さま   え お兄さん ??

 

四人目は なぜか黒い仮面をつけている

 

 ようこそ ・・・ 謎の王子さま    え〜〜〜 スカール ??

 

 

四人の王子たちは 彼女がよ〜〜〜く知っているヒト に とてもよく似ていた。

彼ら本人かも しれない。  他人の空似かも しれない。

 でも 今は どちらでもいい。

 

     とにかく   オーロラを美しく踊るの ・・・ !

 

フランソワーズは息を整える。

とりあえず 最初の難関は クリアした。

 

 四人の王子たちは それぞれ個性的に 微笑みかけてきたが、

彼ら一人ひとりに いちいち応えている余裕はなかった。

 

          アチチュード バランス  

 

そう、 ここが ローズ・アダージオ の見せ場で、 オーロラ姫 アチチュード、

アームス アンオー 各王子の前で バランス する。

平たくいえば 両腕を上にあげ 片足で立ち 他方の脚は後ろ90度近く上げ

膝を水平に 折って保つ。

その姿勢で8小節  静止しているのだ。

 脚一本、ポアントで立っているのはチカラ技でも 根性ゲームでもない。

力は 下へ床を押し  上へ 身体を引き上げ  後ろへ脚で引き

付け根のアンディオール 身体を起こす。

力学的にも とても理に適ったことなのだが 理屈で踊るよりも 

実際は そのバランス感覚を訓練で身につけてゆく。

 

フランソワーズ、いや オーロラ姫は輝く微笑みを浮かべ

アチチュード でバランスしている。

四人の王子たちは ひとりづつ姫の手を取る。

 

        赤毛王子は ちょっと 速いわよ  

 

銀髪王子は 音と共に優雅に  ―  あ〜 さすがね〜 

懐かしい王子は ぴたりと吸い付くような サポート   ― ああ お兄ちゃん  

仮面の人物は  ―  ほら しっかりプロムナードしてよ〜  ヘタクソ〜〜  

 

そんな心中を微塵も感じさせず オーロラ姫 優雅に 

そして 巧みに ローズ アダ−ジオを 踊ってゆく。

 

        ぽ〜ん  ・・・・  ! 

 

オーロラ姫は 王子たちから受け取った四本の薔薇を 放り上げ 

ラストのリフトも 零れるばかりの笑顔だ。    

 

       わ〜     パチパチ パチパチ 〜〜〜〜

 

満場の拍手に フランソワ−ズ 優雅なレベランスで応えた。

立派な国王と王妃が 彼女を迎える。

 

「    どの若君を 選びますか  」

「 ・・・   お父様  お母様 … 

「 さあ そなたの選択を教えておくれ 」

「 あの  わたし ・・・ 」

「 赤毛の王子かな? それとも紳士な銀髪殿か?

 いや そなたも一番の笑顔を見せた金髪の王子か?

 ・・・ 仮面の御仁にはなにやら険しい顔をしていたようだが ・・・ 」

「 お父様 ・・・ あの ・・・ わたし ・・・

 ああ まだもう少し自由に踊っていたいのです。 」

「 まあ 姫。 そなたは16歳になったのですよ?

 この王国の安泰のためにも伴侶となる御方を選んで華燭の典をあげなければ 」

「 ・・・ 16歳なんですけど  ( ホントは19だけど ) 」

「 ええ ええ ですから ね? 」

「 あの・・・すこし 外の風に当たってきます 」

「 あら あら 姫・・・ 」

「 逆上せてしまったのではないか? すこし休ませてあげよう 」

「 そうですわね ・・・ 」

オーロラ姫は両親の側から離れ 祝宴の客人たちの中に混じっていった。

 

  姫様  おめでとうございます  オーロラ姫さま お美しい 〜〜

 

人々は盛んに甘い祝いの言葉を述べる。

「 ・・・ ありがとう  ええ ありがとう ・・・  ありがとう 」

ちょっとばかり強張った笑みを浮かべ 彼女は人々の間をすり抜けてゆく。

 

     ・・・ ちょっとぉ〜〜 こまっちゃう〜〜〜

     こんな場面だけ マジっぽいじゃない?

     たった16歳で結婚 なんて あんまりよ!

 

     結婚って  ―  わたし  ジョーがいるわ!

 

「 あら それはなあに。 」

祝宴の賑わいの外れに 見たこともない老婆がいた。

老婆は みすぼらしい紫の衣に包まり、 なにか手仕事をしていた。

「 ・・・ これは  姫君さま ・・・ 」

「 こんにちは。  なにをしているの? 

「 糸紡ぎ でございますよ 姫君さま 」

「 いとつむぎ?  そのぴかぴか光るものは なあに ? 」

「 これ ですか?  どうぞ 」

差し出されたのは 糸紡ぎの針。  姫君はそっと手に取った。

「 ふうん・・・  あら きれい!  ね こうして翳すと 

 ほら ・・・ シャンデリアの光を受けて きら きら ・・・・って 」

姫君は 紡ぎ針を高く掲げ ゆっくり踊りはじめた。

 

     ・・・ え〜〜と ・・・?

     ここって ゆ〜〜っくり デヴェロッペしつつ

     マネージュ よね・・・

 

     で ・・・ 一周してから ・・・

 

 

   「  あ  !  」

 

いた・・・っという顔で 姫は紡ぎ針を放りだした。

    

     やだ 〜〜〜  ホントに痛い〜〜〜〜

     あれって ただの小道具のはず でしょう??

 

「 〜〜〜〜 ( ちょっと〜〜 マジ 痛いんですけど〜 ) 」

オーロラ姫は 苦悶の表情でステップを踏む。

「 ちょっと そこのおばあさん!  これってなんなの?? 」

「 ・・・ は〜〜っはっはっは 

蹲っていた老婆が突然 立ち上がった。

 

   ばさ〜〜〜 ・・・・ 

 

みすぼらしい衣をさばくと 紫の悪い魔女が立っていた。 

「 わらわは 紫の魔女 たま〜〜ら !

 オーロラ姫 わらわの呪いにかかったな〜〜〜 ほ〜ほっほっほ

 糸紡ぎの針に刺され お前は死ぬのだあ〜〜〜〜 」

 

    え??  ざわざわざわ 〜〜〜

 

 

祝宴の客達は 怯えた顔で魔女を見る。 四人の王子たちはさっと剣を抜いて

魔女の前に飛び出した。

 

「 ふふん ・・・ そんなモノはわらわには役にたたぬわ。 

ほ〜ほっほっほ  姫は死んで この王国も滅びるのじゃあ〜〜 

悪い魔女・たまら はもうノリノリである。

彼女が紫の衣を翻すと 強烈な香が辺りに撒き散らされた。

 

   うわ〜〜〜    きゃ あ ・・・ い 息が 〜〜

 

四人の王子たちも咳き込んだり 目を拭ったり ・・・・ もう大変である。

「 ほ〜〜っほっほっほ ・・・ 口ほどにもないヤツらだね。

 さあ オーロラ姫、 オマエはこのまま息絶えるのじゃあ〜〜〜  

 

  ばさあ〜〜〜  たまら が再び衣の袖を振ったとき。

 

 サ −−−−−− ・・・・・

 

一陣の涼やかな風が吹きこんできて 辺りの禍々しい香を飛び散らせた。

 

   誰だ??  どこのどなたでしょう?  新しい勇者か?

 

人々の騒めきの中 爽やかな声が響いた。

 

    いいえ。 姫君は 死ぬのではありません。

 

 ふわり。  涼やかな空気の中 リラ色に光る羽根をもった妖精が現れた。

 

「 !? どなたです アンタさん? 

姫の側に寄り添っていた乳母さんが 声を上げた。

「 わたくしは リラの妖精です。 あるてみす といいます。

 お誕生日のお祝いにも参上しました。 」

「 リラの妖精?  ・・・ あ〜〜〜 あの時の !! 」

「 はい。 今日もお招きに与り やってまいりました。

 そうしたら  

リラの精は 銀色の杖をさ・・・っと 悪い魔女の方に向けた。

「 そこな魔女。  去れ ! 

 

    う〜〜〜〜む〜〜〜〜  覚えておれ〜〜〜〜〜

 

悪い魔女・たまら は 恨み声を上げつつ 灰色の雲の中に消えていった。

 

 ああ よかった・・・  うむ これでなんとか ・・ 姫君もご無事で ・・・

 

人々はほっとした表情になった  しかし。

 

「 リ リラの精さん!  姫様が 姫様がお起きになりません〜〜  」

乳母さんはおろおろしている。

「 大丈夫。 姫君は 眠るだけです。 」

「 ね 眠る? 」

「 そうです。  さあ〜〜〜 この城も この森も 全てが眠りに

 入るのです。 シアワセの光がやってくる時まで。 」

 

  さあ〜〜〜〜〜〜〜 

 

リラの精がまた銀の杖を振ると 銀色の細かい光が 辺りいっぱいになり ― 

人々はその場で眠り始めた。

姫君も どこからか現れてきた立派な寝台の上です〜〜〜っと意識が遠のいて・・・

  

 

      え〜 なんで眠らなくちゃなんないのぉ〜 

     ― 百年だったっけ?? 

    じょ〜〜だんじゃあ ないわよぉ〜〜〜

    四十年寝てたのに、その上  そ そんなに眠ってたら

    

    わたし、もっともっと とんだおばあちゃん になっちゃうう〜〜

 

    ジョーだってそんな 百年も待ってくれないわ・・・

 

    やだ!  こんなの やだ〜〜〜

 

オーロラ姫、いや フランソワーズはなんとか起き上がろうとしたが

強烈な眠気に負け 薔薇の褥に倒れこみ眠りこんでしまった。

 

 

 

  さて。 またまた場面は少し時間は過ぎる。

 

 

「 うっわ〜〜 すっげ ・・・ トゲトゲだらけじゃんか 

ジョーは イバラの森を前に難渋している。

「 スーパーガンがあればなあ 〜  ばばばば〜〜〜っと薙ぎ払えるのに 

 くそ〜〜〜〜 弓矢じゃしょうもないよぉ 」

 いて いててて・・・・と ぶつぶつ言いつつ、 それでも彼は弓と矢で

イバラの薮を切り開いてゆく。

「 いって〜〜な〜〜〜も〜〜〜   なんでサイボーグじゃないんだよぉ

 うん?  あ  あれは! 」

茂みの向こうに 白亜の御伽の城が垣間見える。

「 お城だっ あそこにフランがいるんだ〜〜〜〜 

 フラン〜〜〜〜 今 起こしにゆくよう〜〜〜 」

彼は俄然張り切って  バリバリとイバラの薮を乗り越えていった。

 

 そして。  今 ジョーの目の前には華麗な城が聳えたっているのだ。

 

「 うわ ・・・ なんかお菓子の城 みたい ・・・

 この中にフランがいるんだね フラン〜〜〜 ぼくのフランソワーズぅ〜〜〜

 迎えに来たよ〜〜〜 」

ジョーは いえ ジョー王子 は 服装を整えると

御伽の城の中に 入って行った。

 

果たして。  姫君は フランソワーズは いた。

大広間の中央には 薔薇の花を敷き詰めた特製ベッドが据えられていて

周囲には 大勢の人々が眠りこけていた。

 

「 えっと  ・・・ ちょっと失礼します〜〜〜  」

 

ジョーは天蓋付きのベッドに近寄り 身を乗り出し ―

「 わお。 やっぱフランだあ〜〜〜 ・・・ かっわいいなあ〜〜♪

 えへへ・・・ それじゃ お約束のぉ 」

 

      ちぅ ♪

 

ジョーですので。 彼は眠れる姫君に ごくかる〜〜〜いキスをした。

ぱちり、と眼を開く姫君 いや なつかしのフランソワーズ。

 

「 ・・・ あ? 

「 フラン〜〜〜〜  やっと会えたよ〜〜う 」

「 ジョー?  ジョーね! 」

「 目が覚めたんだ〜〜〜  よかったぁ〜〜〜 」

「 ねえ もう 百年、経ったの? 」

「 え? 百年?? そんなこと、聞いてないよ? 」

「 あ そうなの? 」

 どうやら 情報はきちんと伝達されていないらしい。

フランソワーズは 知らぬ顔 を決め込むことにした。

 

   いいわよね?  ともかくジョーは来てくれたんだし

   わたしは ちゃんと目覚めたんだもの。

 

 〜〜〜 ♪♪  ♪  〜〜 ♪♪

 

どこからか 素朴な音楽が聞こえてきた。

「 あら この音・・・ ね 二人で踊りましょう?? 

「 え?? ぼ ぼく ・・・ 踊れない よ ? 」

「 あら 大丈夫。 ほうら ・・・ 

フランソワーズに手を取られ ジョーはもじもじ・・・ 踊り始めた。

 

  ♪ ♪♪ 〜〜〜♪  ♪〜〜〜

 

「 うふふ ・・・ ジョー  アイシテル。 」

「 ぼ ぼく  も ! 」

「 あ ねえ このお花で占ってみない? 」

「 うらない?? 」

「 そうよ。 こうやって ・・・ 」

彼女はベンチに座ると 手折った花で 花占いを始めた。

 

 アイシテル  アイシテナイ  アイシテル  アイシテナイ 〜〜

 

一枚づつ花びらを摘んでゆくのだが

 

    あ ・・・・ 

 

彼女の顔が 曇った。 花を置いて顔を背けてしまう。

「 どうしたの?  ・・・ 花占いの結果はどうだった? 

 あれ ・・・・ふ〜〜ん 」

ジョーは彼女が置いた花から 花びらを一つ取った。

「 ね フラン 見て? 」

「 ・・・ え ・・・ ? 」

「 〜〜〜 アイシテナイ アイシテル。 

ほら  アイシテル でお終いだ  」

「 ま まあ  ジョー・・・ 

「 ぼく達はそんなんじゃない  けど こんな仲なんだもん。 」

 

   きゅ。  彼は彼女を抱きしめる。

 

「 きゃ♪  うふふ・・・ ジョーってば 

「 そうだろ? ♪ 」

「 ええ そうね♪ 」

 

    ざわざわざわざわ〜〜〜〜〜  突然 空が暗くなった。

 

「 ・・・・ なに ?? 」

「 む。 ・・・ あ またあのオバサンかなあ ・・・ 

「 え だあれ? 」

 ほら あのヒトだよ 」

「 あのヒト?   あ〜〜〜 」

 

   どんどんどろろ〜〜〜  どんどろろ〜〜〜〜

 

湿った嫌な風とともに 紫の死の衣装をつけた魔女が

浮かびあがってきた。

 

「 ムスメよ 〜〜〜 そこなオトコは オマエを騙しているのじゃ。

 さあ そのオトコに憑りついて呪い殺すのじゃあ〜〜〜〜 」

 

「 え なに言ってるの?  ・・・ あ あら??? 」

「 うわ・・・ なんだ ? 」

「 え〜〜 ?? そ そんなのって あり?? 」

「 うっそだろ〜〜 」

 

明るい庭園は いつのまにか沼の畔の墓地に変わっていた。

 

 

  ぽ〜〜〜ん ・・・ 沼にカエルが飛び込んだ。

 

  ひゅ ・・・  ひゅ ・・・ ん ・・・

 

小暗い墓地の中に ひとつ  ふたつ  鬼火が飛ぶ。

ここは湿った墓地 ・・・ 夜中に訪れる人などいるわけはないのだが。

 

「 こ ここは どこだ??  え?? ぼく、 なんだってこんなモノ

 抱えてるんだ? 」

気が付けば ジョーはただひとり、大きな百合の花束を抱え

マントを引いてとぼとぼ・・・歩いているのだった。

「 ここは ・・・ 墓地じゃないか ・・・

 あ?  あの真新しい十字架は   ・・・  」

ジョーはその墓碑を読み 蒼白になった。

「 !  フランソワーズ  だって??? う ウソだあ〜〜〜

 彼女とは ついさっき踊ったばっかじゃないかあ〜〜〜 フラン〜〜 」

ばさり。 花束を落とすと 彼は十字架の元に身を投げた。

 

  と。  その時 ―  ふわ ・・・・

 

なにか白いものが 彼の頬を掠めた。

 

   ・・・ ジョー ・・・ 

 

「 え? 」

 

   ・・・ ジョー 。  わたし よ。 わたしは ここ よ

 

「 ! フラン フランソワーズ〜〜〜〜〜 」

「 ジョー。 あなた ・・・ 」

彼の前には 愛しい彼女が白い薄物を纏い 立っていた。

「 フラン〜〜〜〜  ああ フラン 〜〜〜 」

「 ジョー ・・・ ああ ジョー ・・・ 」

 

      うれしい ・・・・ いとしいひと ・・・

 

ふわり と 跳んできた彼女を 彼は軽々とリフトする。

「 ジョー ・・・ ああ あなた。 」

「 フラン ぼくのフラン〜〜〜 」

二人は 見つめ合い手を取り 熱く あつく踊る。

 

   どんどんどろろ〜〜〜〜    再び 生臭い風が吹いてきた

 

「 !!! おのれぇ〜〜〜  オマエ あのオトコを殺せ!

 死ぬまで 踊り狂わすのだあ〜〜〜 」

悪い魔女 が 金切り声をあげる。

 

「 ・・・ ジョー ・・・ わたしが護るから。

 ジョー ・・・ あなたはどうぞ あなたの人生をちから強く生きて。 」

「 フラン 〜〜 なにを言うんだ ! 」

「 いいえ。 わたしがあの魔女を沼に沈めるから。

 あなたは どうぞ 生きて ・・・ ! 

「 フラン !!? 」

 

彼女は 彼の手を離すと魔女に跳びかかった  が。

 

  うぬ??  はなせ こいつ〜〜〜  

 

「 これ以上 人々を苦しめるのはやめてっ 」

姫君は隠しもっていた銀の十字架を 魔女に押し付けた。

 

   ぎゃあ〜〜〜〜 ・・・ く  くるしい ・・・・

 

       ぶぅんっ !!!  

 

魔女の死に際の馬鹿チカラは 

フランソワ―ズを恐ろしい勢いでふっ飛ばしてしまった。

 

    きゃあ〜〜〜〜〜〜〜 ・・・・ !

 

「  !!  フランソワーズ〜〜〜〜〜〜  」

 

絶叫が響き渡る。  ジョーは無我夢中で大地を蹴っていた。

 

 

 

    あ・・・??

 

気が付けば  ―  二人は漆黒の宇宙空間に いた。 

 

「 ・・・ フラン? フラン〜〜〜 しっかりしろ 」

彼は 腕の中の彼女を軽く揺すった。

「 ・・・ ん ・・・?  ・・・ あ  ジョー ・・・? 」

「 フラン〜〜〜 気が付いたかい? よかった〜〜 

「 ジョー ・・・ こ ここは どこ? 」

「 うん ・・・ 多分 宇宙  」

「 う 宇宙?? 」

「 あの魔女にふっ飛ばされた ・・・ あ 安心してくれ

 魔女はくたばったよ 」

「 そう ・・・ よかった ・・・ 」

「 でも どうやらぼく達もこれでお終いらしい 」

「 え ・・・?  いいわ わたし あなたと一緒なら ・・・ 」

「 フラン〜〜〜〜 ぼくも さ! 」

二人は もう一度 固く抱き合った。

 

     ジョー   あなた  どこに落ちたい   

 

 

       ぐぉ〜〜 〜〜〜〜〜〜   !!!  

 

 

恋人たちは抱き合ったまま 大気圏に突入していった。

 

 

 

 

      シュ −−−−−−−−  ・・・・・・   !

 

   その夜  天空を流れ星が横切っていった。

   それに気づいた人は ほとんどいず、注意を向けたヒトも少なかった。

   

 

 

「 ・・・ あ  あれ ・・・? 」

「 う ・・・ ん ・・・? 」

ジョーは そして フランソワーズは 目覚めれば一つ寝床にいた。

「 ・・・ あ  ジョー ・・・ 」

「 フラン ・・・ 」

「 ジョー ・・・ ああ あなたなのね! 」

「 フラン〜 ああ きみだ きみなんだ! 」

二人は 二人でそこにいることに 心からほっとした。

「 ・・・ ねえ 夢を みたの 

「 え きみもか。  ぼくも夢を見た ・・・ 」

「 あのね 二人で星になったわ ・・・ 」

「 ・・・ 流れ星に なった 

 

   きゅう ・・・ 彼らはどちらからともなく腕を絡め 抱き合った。

 

 

    「「  あ〜  夢で よ〜かったあ〜〜  」」

    「「 あ  い  し  て  る ・・・ ! 」」

 

    そう ・・・ むかしむかし の あさきゆめみし 

 

 

 

******************************   Fin.  *****************************

Last updated : 06,05,2018.                     back     /     index

 

***************   ひと言    **************

あは めちゃくちゃ・パロディ〜〜〜 でした ((+_+))

29の方 ごめんなさいね〜〜〜

ここは 93サイト なので〜〜 許してくださいな☆